Adobe40年間の歴史。黎明期~全盛期までの製品群を振り返り

クリエイティブ

Adobe Inc.と言えば、クリエイティブ系のソフトウェアを開発するリーディングカンパニーであり、Illusutrator(イラストレーター)やPhotoshop(フォトショップ)といったデザインや画像編集向けのソフトが有名です。また、2000年代にはFLASH(フラッシュ)によって制作されたFLASH動画が一世を風靡しました。

企業や行政が一般的に使用するPDFもAdobeが開発したものですし、YouTubeなどの動画業界が賑わいを見せていることから、プロが使用していた動画編集ソフトPremiere Pro(プレミア・プロ)も一般に認知されるようになりました。

今ではソフトウェア開発に留まらず、オンラインビジネス向けに情報の収集・蓄積・解析を行い、マーケティングや販売支援などビジネス課題を解決するコンサルティングサービスも事業の柱となっています。

2022年はAdobe Inc.(旧 Adobe Systems Incorporated)が設立されて40年の節目の年となります。この記事では40年間にわたるAdobeの歴史とその製品の変遷を振り返っていきます。

Adobe製品にはどんなものがあるのか知りたい、という方はこちらの記事もご覧ください。

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2人の創業者

参照:Adobe(Dr. Charles M. Geschke(Dr. John E. Warnock

Adobeと言えばクリエイターなら知らない人はいないほど有名な会社ですが、元々は印刷機器メーカーである米ゼロックスの社員だったチャールズ・M・ゲシク氏(左)とジョン・E・ワーノック氏(右)の2人が、1982年12月にシリコンバレーでAdobe Systemsを設立したところから始まります。

GoogleやApple、Amazon、Microsoftといったテック企業が小さなガレージからビジネスを始めたのは有名な話ですが、Adobeもまたワーノック氏の自宅ガレージから出発しました。

ちなみに「Adobe」という社名は、米カリフォルニア州ロスアルトスにあるワーノックの自宅の裏を流れる「アドビクリーク」という川にちなんで命名されました。「アドビクリーク」という川の名前も元々は粘土の種類の1つである「Adobe」というスペイン語が由来となっています。

参照:LOGOS-BRAND

残念ながら、共同創業者であるチャールズ・M・ゲシク氏は2021年4月16日に81歳で亡くなりました。ゲシク氏は「全く新しいパブリッシングとグラフィックの制作の方法を実現することにより、人と情報との関係を革新したい」というビジョンを抱いて会社を設立したそうです。

黎明期 ジョブズとの出会い

Adobe Systemsは設立当初、企業向けのコピーサービスを展開していましたが、次第に印刷機器向けのソフトウェア開発に注力するようになりました。そこで開発されたのがプリンタの描画を制御するためのプログラミング言語「PostScript」です。

参照:Adobe

PostScriptのポテンシャルにいち早く注目したのが実は、Apple Computer Company(現 Apple Inc.)の創業者である故スティーブ・ジョブズです。ジョブズは設立1年目のAdobe Systemsを買収しようとしますが、残念ながら創業者2人に断られてしまいました。

その代わり、ジョブズはAdobe Systemsの株式を取得するとともに、PostScriptの5年間のライセンス料を事前に支払ったそうです。Adobe Systems社にとっては一番最初の大口顧客だったのですね。

クリエイティブ業界では昔から「アドビ製品を使うならマッキントッシュ(*1)」という風潮がありましたが、これはアドビとアップルが創業間もない頃から深い繋がりがあったからなのでしょうね。

(*1) Macintosh(マッキントッシュ)
アップルが開発・販売するパーソナルコンピューターで現在ではMacと呼ばれています。

過渡期 主力製品を次々とリリース

さて、ソフトウェア開発に本腰を入れたAdobe Systems社は、1985年からベクタ形式(*2)の画像描画ソフト「Illustrator」の開発を始め、1987年にマッキントッシュ専用のバージョン1をリリースしました。1989年のバージョン2からはWindowsにも対応しており、現在にも続くAdobe社の代表的な製品となっています。

(*2) ベクタ形式
点や線、面、塗りを数値化して記録することで、拡大縮小しても描画が崩れず画質も劣化しない特徴がありますが、複雑な画像表現になるほど数式が増えて処理が重くなってしまいます。

参照:WinWorld

 

続いて、1990年にラスタ形式(*3)の画像編集ソフトである「Photoshop」をリリースしました。

(*3) ラスタ形式
色のついた点を格子状に配置することで写真などの複雑な画像の表示に適していますが、拡大縮小することで画質が劣化してしまいます。別名ビットマップ形式とも呼ばれています。

参照:Conmputer History Museum

 

1991年には動画編集ソフトとして「Premiere」がリリースされました。

参照:WinWorld

同じ年には、アプリケーションやハードウェア、オペレーティングシステムに依存せず文書を表示するためのファイル形式「PDF(Portable Document Format)」の開発を開始。

1993年にPDFファイルを表示・作成・操作・印刷・管理する「Acrobat」と表示専用のソフト「Acrobat Reader」をリリースしました。

参照:guidebook

成長期 企業買収で製品群を強化

この頃からクリエイティブ系のソフトウェアを開発する企業買収を加速しており、1994年にはAldus社を買収して、映像のデジタル合成やモーション・グラフィックス制作に特化した「After Effects」を製品群に追加しました。

参照:Macintosh Repository

1995年にはFrame Technology社を買収して、マニュアル執筆などの大規模な構造化文書制作を得意とするDTPソフト「FrameMaker」を手に入れ、1996年にはフォント技術を強化するためにAres Software社を買収しました。


参照:Macintosh Repository

2003年にはPremiereの後継ソフトとして現在に続く「Premiere Pro」をリリース。


参照:guidebook

同じく2003年にSyntrillium Software社のデジタル・オーディオ・ツール「Cool Edit Pro(現Audition)」を買収。

参照:guidebook

2005年には競合製品によって訴訟合戦を繰り広げていたライバル企業のMacromedia社を買収することで、「Breeze(現 Connect)」「Captivate」「Contribute(2017年終了)」「AIR」「ColdFusion」「Director」「Dreamweaver」「Fireworks」「Flash(現 Animate)」「Soundbooth」などなど、多数の製品群の吸収・移管を進めました。

2010年には一世を風靡したFLASHが終了するということで大きな話題にもなりましたね。

全盛期 サブスクリプションで新たな時代へ

2012年にはサブスクリプション方式を開始し、クラウドサービス事業者として大きく舵を切ることになりました。

こうして1年半~2年おきにバージョンアップとリリースを続けてきたソフトウェア販売は2013年に終了し、アドビの製品群である「Adobe CS(Creative Suite)」は「Adobe CC(Creative Cloud)」へと完全移行することになったのです。

2012年当時はサブスクリプション販売がまだまだ浸透していなかったことから、賛否両論が巻き起こりましたが、今となっては動画サービスや書籍、飲食に至るまで様々なサービスでサブスクリプションが当たり前になっています。

サブスクリプションの良い所は好きな時に始めて、いつでも利用を止められるとことであり、ユーザーとしても常に最新のサービスを享受できるところに魅力があります。

ですからAdobe製品を利用する際は、是非とも複数のソフトを使って自身のスキルアップに役立ててほしいと思います。

Adobe社の変遷を追ってきましたが、いかがだったでしょうか?Adobe CCの製品が気になる方は下記の記事もどうぞ。

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